日本刀の刀身が衝撃を受けたときの縦波ですが、衝撃によって生じた圧縮の応力波が、刃側の衝撃点から秒速約5kmで同心円状に伝播していくそうです。鋒に到達した圧縮応力波は、その自由境界で反射して、引張応力波となって伝播していくそうです。縦波というのは、衝撃力を受けた地点から同心円状に伝播して、鋒で反射するそうです。これを繰り返すそうです。実際には、この縦波に横波が加わって、さらに時間の進行とともに、鋒や茎尻などでも入射・反射、干渉を繰り返すので時間によって極めて複雑な応力状態になるそうです。確かに力がそこに留まるということはないような気がしますが、そんなことを計算で出そうというのですから、驚きます。この状態を過度応答というそうです。
過度応答を経て時間とともに、定常振動といわれる周期的な振動に遷移していくそうです。
衝撃応答というのは、衝撃負荷を受ける材料や機械・構造物の動的な力学的挙動を幅広く表す衝撃工学の専門用語だそうです。日本刀の打ち込み、受けなどによって生じる衝撃力というのは、刀身中を応力波として伝わるということで、刀身の衝撃応答は過度的応答を経て定常的な振動に移っていくそうです。衝撃応答を理解するのに梁の定常的な曲げ振動というのを勉強した方がいいそうです。また日本刀の激しい打ち合いがあっても、目釘穴に通された竹目釘というのが、破損してない場合がとても多いそうです。このことから、目釘にはほとんど力は作用しないと予想されるそうです。これは目釘穴の位置に関係すると考えられるそうです。ただこれらのことは計算を重ねても難しいことだそうで、刀匠や伝統技工がそれをわかっているというのが凄いなと思います。