戦場で日本刀を抜き身で持ち歩く場合、右手で柄を持って刀の刃を上に向けて肩に担いでいたそうです。右の二の腕は脇に強く押し付けて、刃を斜め45度上に保つようにして、刃が下に向かないようにします。

関ヶ原合戦の屏風絵に描かれているのを見ると、確かに武士が肩に刀を担いでいるのがわかります。

これは自分の身、仲間の身を守るためだそうです。

刀を振り回しながら戦場を駆け回ったらどうなるか。足場も悪いのでコケたりすれば、刀で怪我をしてしまいます。また刃を前に向けて走ったら、仲間を斬る可能性も高いのです。

刀は重いので、手も疲れます。戦う前から疲れてしまうということです。

そもそも戦争ですから、平静でいる人はいません。とんでもない興奮状態の中、重い刃物を振り回していては(重いので振り回せない)自分も相手も斬ってしまうでしょう。

なので、武士の心得として、まず戦場での抜き身の持ち方は絶対に守らなければなりません。

武士の刀は武器なので、取扱は要注意のはずです。武士道というのがいわれる前から武器は注意してもたなければなりません。

けれど、武士の中には、大道芸の見物中にスリにあったり、遊びに行った先で置き忘れたりとか、うっかり失くしてしまう人もいたようです。

また武士というのは軍人でありますから、ひと目があるところでは、ビシッとしておかなければならないといえます。

日本刀の持ち歩き方も同様で、武士のことを二本差しといいますが、好き勝手な形で日本刀を二本差しとけばいいというわけではありません。

短い脇差と長い刀をさすのですが、特に長い刀を指すときは、垂直の落とし差しにならないようにしなければなりません。刀の柄を握り直したりしなければならず刀を抜くときに不覚を取るからです。

浪人などは落とし差しにしていたそうです。

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